コロナ疲れ・Zoom 疲れ

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視覚過多の情報にさらされる

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 人は視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚など、
さまざまな感覚を用いて外界の情報をキャッチしています。
しかし、リモートワークの中で、特にこのZoom会議は
視覚による情報が圧倒的に多くなります。
もちろん、音も聞きますが、情報量としては視覚優位となっています。
逆に視覚、聴覚以外の情報はそぎ落とされ伝わってきません。

 情報源が限られるので、
脳は、視覚から得られる情報をできるだけ多く取り入れようとしすぎて暴走します。
通常なら目は相手の表情だけでなく、
何気ないしぐさや身体全体の動きなどにも向いています。
しかし、リモートワークでは、だいたいよくて上半身、
ともすると顔の表情が画面いっぱい大きく写ることになります。
さらに刺激源は限られるわけです。
脳は限られた情報源から 何かを読み取ろうとさらにアクセルを踏み
大慌て状態になります。
結果として注意力と作業能率そのものは落ちるようです。

 

 このような現象について、アメリカ心理学会で、「継続的に注意力が断片化すると脳がくたくたになり、効率が落ちる」と説明(Varakin,など2004)されています。

 つまり、Zoomなどを通して話し合いをすると
たいした仕事をこなしたわけでないのに やたらに消耗した感覚が残るわけです。
さらに、たくさんの人の顔を見て話し合いとなりますと、
情報源としては不十分な刺激がたくさん入ってきますから、
疲労は一層高まり蓄積されると考えられます。

 科学雑誌『Science』2010年6月号では、
触覚の情報が 人の判断力に優位に影響することが 取り上げられています。
また、ある精神科医は、初診において患者さんから漂う臭いは
重要な指標の一つだとも言っています。
生身の人間を知るには いくつもの感覚を使うことが必要なのでしょう。
限られた感覚を使う空間でのコミュニケーションは
実のところたいへん難しく疲れるものなのでしょう。

 精神分析家、藤山直樹先生が『月刊みすず』(みすず書房)の2020年5月号で
ウィルス蔓延下オンラインの交流について次のように述べています。
  「人と人が直に交わることによる独特の体験と
   その生産性が顧みられなくなる方向に、事態が進むということである。
   人が集まり、
   人がつきあって作り上げるものが軽んじられ、
   手ごたえや感触や体温を欠く、
   虚ろな関わりのなかに私たちは閉じ込められる。」

改めて思いを巡らすと
Zoom 疲れの感覚は、生気の欠如した虚ろな空間に閉じ込められることへの、
生身の人間としての、レジスタンスといえるかもしれません。

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