子どものうつ
~認知行動療法と精神分析~

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子どものうつ(その2 子どものうつと心理療法)    2019. 4. 4

うつの治療としての「心理療法」のアプローチに
一般的には認知行動療法が挙げられるが
認知の枠組みが固まっていない子どもには
精神分析的心理療法も認知行動療法と同様に効果的
あさ心理室

うつの治療の三本の柱

 一般的なうつの治療として、定石とされているのは、
「薬物療法」「環境調整」「心理療法」の3つのアプローチです。
この3つをうまく組み合わせるのが適切な方法と考えられています。
子どものうつの場合も、回復に向けてこの3つの柱が重要になってきます。
今回は特にその中でも「心理療法」をとりあげてみます。

子どものうつと「心理療法」

 「うつ」といえば認知行動療法と、現在心理支援の中で認知行動療法が
一種のブームのように取り上げられることが多いです。
認知の枠組をかえることで気持ちが軽くなることもあり有効な面もあるでしょう。

2016年に 日本うつ病学会が発表しているガイドラインの中では、
子どもに対しての心理的支援として支持的療法と、
さらに認知行動療法や対人関係療法の有効性が示唆されていますが、
大人の場合ほどにはそれらの心理療法のエビデンスが明確になっているわけではありません。

2018年11月に英国オックスフォード大学で行われた児童心理療法財団企画の研究会で、
英国の代表的な児童心理療法士であり精神分析家である マーガレット・ラスティンが
興味深い研究発表をしています。この研究はIMPACT試験によるものであり、
うつ状態を呈している思春期の子どもや若者層のクライエント対して
精神分析的な理解にもとづく心理療法も効果的であることを発表しています。
さまざまな立場の心理療法の中で、精神分析的心理療法と認知行動療法とが
双璧として同様に効果的な方法であることが述べられています。

認知行動療法による効果を否定するわけではありませんが、この方法にも限界はあります。
そもそも子どもは、「認知の枠組み(物事のとらえ方の癖)」が固まっておらず
形成途上ともいえます。むしろ、情緒発達の土台を育てていく精神分析的な心理療法の方が
高い効果がみられるケースもあるのでしょう。

 いずれにせよ、成長発達途上にある児童に対しては家族関係をめぐる葛藤を
考慮した心理療法的な介入が回復に向けて重要になってくるでしょう。

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