うつ病 2

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うつの診断      --- 専門家は「うつ」をどうとらえているか      2019. 8. 11

うつは多様になっている。                      
原因が違えば、                                      
その対処法も違ってくるはずですが・・・
あさ心理室

うつ病は増えている

 厚生労働省が3年ごとに行っている調査でも、
うつ病を含む 気分障害 という診断名がつく患者が急速に増加していることが明らかになっています。

 精神科臨床では、精神科医が
アメリカ精神医学会が出している DSM という診断基準に基づいて診断することが多くなっています。

 患者の訴えを聞き、
DSM に述べられている一定の症状や その重症度を基に診断名がつけられます。
この診断基準が導入されたとことで、精神科における診断は大きくかわりました。

病気となるに到った原因や成り立ちよりも、
まずは一定の症状が出そろったものを一括して 診断名がつけられるようになりました。

しかし、このような診断は、原因を考慮する以前に病名がつけられることになり、
精神科医の中には、
病気に到った様々な要因を視野に入れながら治療を進めていくことが難しくなると、
問題があると批判する方もおられます。


さまざまなうつ

 この患者は なぜうつになったのか。
人それぞれ、様々な人生があり、種々の要因が絡み合い、
うつが引き起こされているものです。

 「うつの舞台」(2018) の中で豊嶋先生は、
「病態の成り立ちから治療転帰までの全体の仮説をたてる」診立てが大切である と主張し、
この仮説を元に、どのような治療的な介入が適切かを吟味する、といわれています。

 さらには、以下のようにうつの多様性についても触れてます。
  「うつ病という用語が一体何を指すかについては、
  今や専門家同士の間ですら共通認識が失われていると考えたほうがよい。
  もしうつについて論議するときには、まず真っ先に必ず、
  貴方が使う「うつ病」という言葉が指し示す病態が
これらのうちのどれとどれに近いのですか、
  と互いに確かめておかなければならない。」
というように。

 比較的軽症のうつについては「うつ」という診断名ではなく、
「適応障害」「不安障害」「身体症状症」などと診断されることもあります。

いろいろな「うつ」があり、さらにはうつ状態でありながら、
うつとは別の診断がされることもあるわけです。
こうなってくると何か混乱してきそうです。

 中安信夫先生は元東大教授で、日本の精神病理学の代表的な研究者です。
中安先生は、「反面教師としてのDSM-精神科臨床診断の方法をめぐって」(2015) の中で、
慣れ親しんで使っている「うつ」の診断分類を掲げています。

    ・ 身体疾患に基づくうつ状態 
    ・ 躁うつ病
    ・ 内因性うつ病
    ・ 初老期うつ病
    ・ 産褥期うつ病
    ・ 月経前うつ病
    ・ 冬期うつ病
    ・ 抑うつ反応
    ・ 抑うつ神経症
    ・ 疲弊抑うつ

 このような分類は DSM とは違い、どうしてそうなったのか、「うつ」の原因はなにか
に注目しています。
それが違えば、対処法も治療方針も違ってくるわけです。

  医療現場では、精神科医が医学的な診断・治療をしますが、
臨床心理士もまた臨床心理学という専門的な知識を使って見立てをしていきます。

 医療現場を離れたところでも、臨床心理士はいろいろな人のこころの問題への支援に
関わっています。
病には到っていないようなこころの悩みに関する相談・カウンセリングでも、
精神科領域に関連する研修や訓練、さらに精神科医との連携の経験が十分な専門家は
より安心できます。

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