うつ病 5

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生き方の核心にふれる精神分析的心理療法      2019. 10. 27

精神分析的な方法は、                                                    
人間のもつ複雑なこころを無意識も含めて                  
こころのバランスを変えていくことを目指します。  
あさ心理室

 クライエントの人生と人間性を丸ごと視野におくこと。
その「人」へかかわっていくのが、精神分析的心理療法です。
精神分析家の藤山直樹先生が「うつの舞台」の中で事例を提示して、
精神分析の有効性を伝えています。

 クライエントの女性は高学歴の専門職につく40代の女性です。
長い間続いているうつ的な気分、いつも漠然とした虚しさを抱え、
どこかにいつも「自分など死んでしまえばいい、価値などない」
という感覚を持ちながら生きていました。
彼女は、幼児期に父親を亡くして、何カ所かの親戚に預けられたあと、
母親とその再婚相手に10歳から育てられるという、生い立ちのある人でした。
彼女は、「人生から生きている喜びがはぎ取られている」といいます。
「生きる実感や喜び」を感じることがない
ということを繰り返し訴えている人でした。

 藤山先生との心理療法の経過がドラマティックに描かれています。
数年の面接を経て、重要な面接場面が訪れます。
彼女はある夢を見て、面接の中で話をしています。
板張りの教室みたいな所で誰かを探している夢でした。
面接の中で、セラピストである藤山先生に彼女は「父親」を感じる場面があり、
そのやりとりの詳細が取り上げられています。
そして、面接場面で、父親を探す彼女が再現されていることが
セラピストによって解釈されています。
彼女はそこで生まれて初めて、父親の死を実感し悲しむことができたのでした。

 それまでは、饒舌によく話すものの、
上滑りで地に足がついていない平坦な話ぶりでしたが、
情緒を込めたトーンへと変わります。
しだいに彼女は子どものころの想像を絶するほどの
孤独感や心細さを話すようになっていきました。
そして、それまで「凍結」されていた自分の情緒が語られていきました。
少しずつ彼女は、生きる実感を取り戻していきます。
現実的な生活は回復し、適応がよくなっていき面接を終了しています。

                                                           

 うつを抱えている人には、
幼い頃になんらかの喪失の体験をしている人が多いようです。
一言で「喪失」といっても、それは人ぞれぞれで事情はずいぶん違います。
それに対処してきたやり方も様々です。
しかし、無理やり「喪失」の体験を押さえ込んで見ないようにし、
感じたり考えたりしないようにしていることが、
知らず知らずにこころに無理をさせており、
バランスを崩しているという点で似かよっているところもあります。

 自分も意識していない部分も含めて、
こころのバランスを取り戻すことは難しくそのプロセスは複雑なものです。
セラピスト(または、カウンセラー)が
何か一つ二つアドバイスをしたら簡単に改善するというものではありません。
精神分析的な方法は、人間のもつ複雑なこころを
無意識も含めて全体的に扱っていくやり方です。
いびつになっていたり無理がきているこころのバランスを変えていくことを目指します。
悩む人の人生に新たな視座をもたらし、
その人が自らの新たな人生を創造していくのに役立つ方法だと思います。

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